「データ流通への参入障壁を下げるために求められる『サービス』のカタチを考える」
エブリセンスのワークショップにご参加いただいた皆様、本当にどうもありがとうございました!ご参加いただいた皆様と、成果物や評価結果など共有させていただきます。
このワークショップは、「データ流通」に関するテーマを個人同士が対話すること、誰かの意見を聞いてみることで、「データを利活用する社会の仕組み=データ流通」を考えた場合に、ご自身の興味や感心、課題を何に対して感じるのか、ということを発見していただけたら幸いと思い企画しています。また、「データ流通に関心を持ってワークショップで議論した」という特徴的な共通点を持つ皆さんですので、ぜひ参加者同士で新たなつながりやビジネスが生まれるきっかけになったら幸いです。今後も、技術やビジネスモデルだけではなく、データ取引に伴う企業法務や会計などいろいろな角度でテーマを設定して開催したいと思いますので、よろしくお願いします。
開催結果
日時:2019年6月21日(金)
場所:TEPIA 地下1階 会議室A
お題:データ流通への参入障壁を下げる『サービス』のカタチを考える。
参加者:30名
ファシリテーター総評
今回のワークショップでは、まず事前に実施したアンケートのご回答に基づき、「データ取得」「データ通信・やりとり」「データ蓄積・ビッグデータ化」「データ品質」「データ分析」「データの実装(商品反映)」の6つのサブテーマを設定しました。
そして、上記サブテーマに基づき6つのグループに分かれていただいたうえで、「データ利活用に関する問題点・課題は何か?」「問題・課題解決に求められるサービスはどのようなものか?」などをグループごとに協議していただきました。最後に各グループで考案したサービスを発表いただきました。各グループとも、違う企業に勤務され初めて会う方々同士だったにも関わらず、グループが一体となり非常に濃密な協議をしていたと感じています。
また、ワークショップの時間が実質的に1時間強しかなかったにも関わらず、具体的かつ斬新なアイデアを考案されたことには、非常に感銘を受けました。皆様におかれましても、このワークショップが有意義な時間になったのではないだろうか、と考えています。
投票の結果、最優秀チームとなったD班「でたろぐ ミシュランを添えて」の皆様、おめでとうございます。チームリーダーの平松さん(NECソリューションイノベータ株式会社)は、昨年12月に実施したアイデアソンでも最優秀チームに選ばれ、今回で2冠を達成されました。
ただし、他の班の方々が発表いただいた内容も素晴らしいものばかりだったと考えています。あらためて皆様の問題意識の高さに感銘を受けるとともに、データビジネスの高い可能性を感じました。私自身もより良いデータ利活用社会の実現に貢献したいと、あらためて強く感じた次第です。
日本ユニシス株式会社 三澤潔
成果物
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- A班:データ取得
データの取得 - 解説準備中/リーダー:宇治桂一さん(産業インテグレーションサービス株式会社)
- A班:データ取得
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- B班:データ通信・やりとり
データ取引のフレームワーク構築によるビジネスモデル化 - Bチームが取り上げたテーマは、「データ取引のビジネスモデル化~フレームワーク構築による有効性向上~」 データの提供元、取引市場、購入者の構図の中で、課題として挙げたのが、①売るメリットがわからない、②技術的にデータフォーマットがバラバラ、③安全なやり取りへの懸念、④価格相場が不明、⑤データの信頼性、⑥市場全体に対する信頼度、⑦どこにデータがあるかわからない、こと。 これに対する解決策(新ビジネス)は、①教育・宣伝(社会貢献を伝える)、②標準化、③秘密分散など技術、④流通の見せる化、⑥AIを使った取引信頼度のポイント化、⑦データカタログなど。/リーダー:山田勇さん(一般社団法人データ流通推進協議会)
- B班:データ通信・やりとり
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- C班:データ蓄積・ビッグデータ化
データの価値 見える化シミュレーション - データ流通の障壁の1つに、データ価値が不透明なことが挙げられるだろう。例えば、データ提供先が購入したいデータ商品を中身を見ずして簡単に発見できないということ。この障壁を取り除く為、データ価値を「見える化」するアプリケーションがあると良いだろうというアイデア。また、データ提供者がデータ特性に応じ適切なセキュリティやデータ処理・分析手法を選択できる機能を追加することも検討できるかもしれない。/リーダー:延川裕樹さん(兼松株式会社)
- C班:データ蓄積・ビッグデータ化
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- D班:データ品質
でたろぐ ミシュランを添えて - 解説準備中/リーダー:平松直人さん(NECソリューションイノベータ株式会社)
- D班:データ品質
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- E班:データ分析
年商1千万円の町工場をデータ活用で年商1億にする - 発想の起点は、「2枚目の名刺」というNPO法人の取り組み。1枚目の名刺でなにかのプロフェッショナルとして経験と実績を積み生活ができる収入を得る、2枚目の名刺でソーシャルな方法でその能力を活かし、その取組が本業にも活かされていくという好循環の仕組み。日本では東日本大震災後にソーシャルな取り組みが注目され出したが、現在では英語圏を中心にエシカル(倫理的であること)な行為や活動が評価されるようになった。ソサイエティ5.0の取り組みに参加したいモチベーションはあっても資本力のない中小企業の救済機能として人格的にも優れたアナリストから「共感」を得ることと倫理観・社会貢献性に訴求することで、データ主導社会における新たなエコシステムとして善意のサイクルを活かしたスキームを構築する。アナリストにストックオプションなどを発行することで、支援先の成長にコミットするモチベーションを持ってもらい、企業側は「成長」によって支援に対するお礼をする。/サブリーダー:杉山智英(エブリセンスジャパン株式会社)
- E班:データ分析
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- F班:データの実装(商品反映)
リテール:買わない客の関心をつかみ接客・商品開発に活かす - 「商品を購入しなかった人のデータは入手できない」を課題にワークを開始。データからユーザ像が見えてくるように、アナログな情報を組み合わせて分析(行動データ+視線計測データ+本人コメント+店員の感想+どんな文脈で来店したかという背景情報など)。購入しない要因の見える化を行い、顧客の欲しい商品の仕入れや販売ロス軽減、ビジネスモデル構築(データを納入業者に販売→商品開発に反映→その商品を仕入れる)に活かす。/リーダー:植田美和子さん(株式会社U’eyes Design)
- F班:データの実装(商品反映)
投票結果
最優秀チーム
D班「でたろぐ ミシュランを添えて」
得票数
A班「データの取得」 2票
B班「データ取引のフレームワーク構築によるビジネスモデル化」 3票
C班「データの価値 見える化シミュレーション」 4票
D班「でたろぐ ミシュランを添えて」 11票
E班「年商1千万円の町工場がデータ活用で年商1億にする」 4票
F班「リテール:買わない客の関心をつかみ接客・商品開発に活かす」 7票
※複数選択している方がおり今回はすべてカウント対象としました
獲得点数
A班「データの取得」 260点
B班「データ取引のフレームワーク構築によるビジネスモデル化」 266点
C班「データの価値 見える化シミュレーション」 300点
D班「でたろぐ ミシュランを添えて」 341点
E班「年商1千万円の町工場がデータ活用で年商1億にする」 311点
F班「リテール:買わない客の関心をつかみ接客・商品開発に活かす」 321点
部分評価
有用性 | 実現可能性 | 成長性 | |
---|---|---|---|
120点 | 109点 | 113点 |
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118点 | 108点 | 102点 |
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110点 | 101点 | 94点 94点 |
評価コメント
A | データ利活用に対する不安が払拭される |
A | 解決が求められる現実の社会動向に即した提案であったから |
B | 全体を考えたのはB、その他は特定のアイディア。取引市場の複数課題解決に取り組んでいる。 |
B | 社会的貢献度(インパクト)が最も大きいと思われる。 |
B | 多くの視点から問題解決方法を考えていると思ったから。課題を多く抽出しているから。 |
C | データ流通に関わるプレーヤー(データ流通支援業者とデータ取引運営事業者)の役割が明確だから。 |
C | ユースケースを集めるのが一番大変だと考えているので、その部分をシミュレーションでカバーするのは結構有用と思いました |
C | 問題に対して具体的な解決策が提示されていた |
D | 馴染みのサービスと類似していることにより、実現できた時に活性化が期待できる |
D | コンセプトがわかりやすく、サービス初期の課題/対策も明確だったため。 |
D | 解決策がシンプルかつ課題もニーズもあると思う。(自分達の班も同じ店は見ていたが、総合的になってしまった) |
D | ミシュラン的仲介は面白い |
D | データに対して評価を設けられると、買い手に対してアピールできると思いました。データに有用性があるかどうかがやはり不明なため。 |
D | データのランクづけにより信頼性を担保しつつ、市場を活性化できるため |
D | タイトルがいい |
D | 思いつかなかった案だし、効果的に感じた(ただ取引所がscoringではなく別主体の方が良い) |
E | データ活用フィールドにおける人材確保の困難さを感じているから |
E | 善意・共感によって成立する仕組み、これからの世の中に求められる |
E | 具体論まで詰められているため |
E | 優秀なアナリストの育成につながると思います |
F | 課題が明確で、実現可能性、有用性が高い。広まると思う。 |
F | 「買わなかった」というデータの切り口が面白いと思いました |
F | データ活用について、多くのバリエーションを洗い出せている。現実にサービス化できる具体性がある。toB,toC両方の痛点をおさえていてアイデアのバランスも良い |
F | 利益の出なかった客のデータも利用する点において。隠れたニーズを掘り起こすことで市場の活性化が期待できる |
F | アナログな情報を利用する点。同じような課題を抱えている企業が多い |